マーチのママが知り合ったのはテレビ番組のプロデューサーだった。彼女が息子とドートマンダーの話をすると男は興味津々で会いたいと言ってきた。その男ダグが制作している番組は台本がないリアルなエンタテーメント番組。実際の強盗団の番組を作りたいと申し出てきたのだった。
ドートマンダーとケルプはダグの話に乗ったふりをして、大きな仕事を企もうとする。
TV制作会社は早速O.J.バー&グリルそっくりのセットを作ってしまい撮影開始!
しかし思ったより番組作りは混迷するし、どこにお宝が隠されているのか調べるのも大変だ。
ドートマンダー・シリーズ最後の作品となりました。今回のお相手は「台本がないリアルなエンタテーメント番組」を制作するTVプロダクション。どんな番組かというと、若い男と女を共同生活させて恋が生まれたり、夢や挫折があったりというような番組らしいです。ドートマンダー同等あまりTVを見ない私ですが、住んでいるところの近くに日本のそんな番組の舞台になっているところがあるらしいので、世界中でそんな番組が流行っているのでしょうね。
ウエストレイクはそんなTV制作のいんちき商売を快調に描写していきます。というかTV制作の話ばっかりで
肝心の泥棒シーンがなかなか出てきません。
登場人物も多いわりにあまりドートマンダーの仕事に関わらず消えてしまうし、大体ドートマンダー自身もヘマもしなければ、みじめな目に会わされることもない。なんか変な感じです。
盗み自体も変哲もない地味なもものではっきり言って物足らない! エンディングも笑いもなく苦めな感じで不思議な感覚です。
しかし見出しに転用した「長い長い間がんこに取り付かれていたジンクスから解放され始めたような気がした」というフレーズに新しいドートマンダー・シリーズがもう出ない寂しさを感じませんか?
もう一つ感傷的な気分にさせてくれた文章を紹介します。
「そんな中で一同は古い大仕事の話で盛り上がっていた。トレイラーに引っ張られた銀行、何度も何度も盗んだエメラルド。あまりにも有名だったためあった場所に戻さざるをえなかったルビー、貯水池に隠された現金。時間は過ぎ去っていったみたいだった」(うまく訳せなくてごめんなさい)。
ウエストレイクも愉快な連中のおかしな話に今頃どこかで参加していることでしょう。