- 序文 ドートマンダーとわたし
- 愚かな質問には
- 馬鹿笑い
- 悪党どもが多すぎる
- 真夏の日の夢
- ドートマンダーのワークアウト
- パーティー族
- 泥棒はカモである
- 雑貨特売市
- 今度は何だ?
- 芸術的な窃盗
- 悪党どものフーガ
うなだれたままの彼は、まだここにいる
ドートマンダーを主人公とした短編集です。ただ最後の「悪党たちのフーガ」だけはドートマンダーではなく、ジョン・ラムジーという平行世界に住む泥棒ものです。
何といってもウエストレイクの序文「ドートマンダーとわたし」が面白く、ジョン・ラムジー誕生の理由も詳しく述べられています。これだけ面白い作者による作品解説もそう多くはないでしょう。
作品の内容ですが、ドートマンダーというキャラクターだからこそ面白いマニアが喜びそうな作品も何篇かありますし(ドートマンダーのワークアウト)、まるっきり楽屋落ちみたいなのもあります(泥棒はカモである)。
私が好きなのはいかにもドートマンダーらしい「馬鹿笑い」とウエストレイクならではの味を感じさせる「真夏の日の夢」です。実にしゃれています。
ドートマンダーの仲間はメイとケルプ、ロロが登場、ジム・オハラがちらりと顔を見せます。短篇ですからドートマンダーの単独行動がほとんどです。アーニー・オルブライトが登場する「雑貨特売市」はドートマンダー・ファンには堪えられない一品でしょう。
なおタイトルには1ダースとありますが短篇自体は11本です。もう1本ウエストレイクはドートマンダーの短篇を発表していますが、それは「バッド・ニュース」の第1章にそのまま収録されており、この短編集には入っていません。